第246回 茨城外科学会 2018.10.21

明日、第246回茨城外科学会が茨城県医師会4階会議室にて開催、

今回も当院より1演題を発表いたします。

 

演題:  腹腔鏡下手術が奏効した上腸間膜動脈症候群の2治験例

演者:  山王台病院 上道 治

共同演者:幕内幹男 室伏雅之 鈴木明彦 難波義知 櫻井修

 

抄録

症例1は、53歳男性、10年前よりうつ病にて引きこもり、寝たきり状態が続き、49歳頃より食後、上腹部腹満とGERDが出現。14ヵ月で10㎏の体重減少を認めた。症例2は、23歳女性、1年半前より不眠症にて内服治療を受ける。1年前頃より嘔吐が出現。38㎏より30.5㎏に体重減少。2例とも造影CT、上部内視鏡検査、胃十二指腸造影にてSMA症候群の診断にて、摂食指導、一時、経管栄養を行うも症状の改善はなかった。2例目はIVHも検討したが難色があり、手術目的に当院依頼となる。それぞれに対して腹腔鏡下十二指腸・空腸吻合術を施行した。術後状態は良好にて摂食は改善し、体重増加が得られた。

SMA症候群は、著明なるい痩や円背、腰部前弯などの比較的特徴的な体格にCT、十二指腸透視などの所見より、確実な診断を得る必要があり、また保存的な治療に抵抗する症例に腹腔鏡下十二指腸空腸吻合が有用と考えられる。腹腔鏡下手術の普及による適応の拡大等、文献的考索を含め報告する。

高齢者の交通事故等・・・悲しく虚しい・・・

認知症に対して、日々悲しい報道が絶えない昨今である。

当院では積極的に薬物療法に加えて、医師をはじめ介護士、訪問・看護師、作業療法士等のチームを形成し心理社会的介入を行っている。認知症は下記に示すいくつかのタイプがあるが、アルツハイマー病が60%と最も多い。担当医師は、とりあえず一般内科医に相談することである。しかし、病態、病理の研究や治療の面からは脳神経内科専門医、特に認知症学会専門医 当院では川崎仁志医師(当院常勤医で筑波大学特任教授)が最も適任となると思われる。また当院のような日本認知症学会教育施設を受診することが望ましい。

山本頼正先生指導によるS-TECにおけるESDトレーニングセミナー

山本頼正先生指導によるS-TECにおけるESDトレーニングセミナー

主催:医療法人 幕内会

5/20(日)S-TECにて昭和大学藤が丘病院内視鏡センター長の山本頼正先生を講師に迎えて、ESDのトレーニンングを行ないました。
大変充実した内容で、参加した医師、スタッフ一同、山本先生の寛容でかつ的確な指導力、技術に感銘を受けました。
全国的集計において、食道・胃癌の内視鏡的治療は、すでに手術治療を越える件数となっております。今後、益々早期癌の発見率が上がり、ESDの技術の確立によって症例は増えるものと予想されます。
しかし、まだまだEMR等の内視鏡的治療に比べて合併症率が高く、完全切除術も充分ではないところもあります。
これらの治療に携わっている我々にとって、今回のセミナーは極めて有意義なものでありました。また、平素の検査や狙撃生検におけるカメラ操作がとても重要であることを改めて感じました。また、ラボによる更なるトレーニングが必要だと思われます。
やはり、摘出臓器によるトレーニングに比べて、ウェットラボはより実際に近い状態で施術することができる為、非常に適しているものと思われます。今後、若い先生を中心に更なるセミナーを企画したいと思っております。
S-TECは、昭和大学の消化器・呼吸器外科、泌尿器科、産婦人科等に限らず、内科の先生のトレーニングにも極めて有効な施設と思われます。山本先生も同様のお考えをお持ちでした。新たなS-TECの意義を見出すことができました。また、他大学や他病院の先生のオファーをお待ちしております。

外科医

今週も大腸癌、胆嚢結石症、その他の手術が続いています。本年は、2月頃より手術症例が増えて、特に完全腹腔鏡下胃切除が多く、また、食道癌、肝癌(拡大左葉切除)などの高難易度手術が多く非常に充実しています。(やや疲れ気味です)。

手術が必要な患者様が増える中、外科医が更に少なくなる昨今、今後は小児科、産婦人科以上の危機的状態が訪れることを警告しておきます。

 

第51回 石岡消化器疾患懇話会

 

4月13日(金) 第51回石岡消化器疾患懇話会にて2演題を発表しました。

1演題目「LARS後バレット食道癌の手術例―163例中1例―」です。

H12年より、163例の広義のGERDに対して腹腔鏡的Toupet手術を施行してきました。基本的には難治性食道炎症例であり、バレット食道を手術前より、ほとんどの方が持っております。

特にLSBE(3cm以上長いもの)を合併している症例もありますが、そのほとんどが、SSBE(3cm)以下といってShortバレット食道です。バレット食道の癌化率は欧米では、5~15%(LSBEの場合が殆んどですが)と非常に高率です。日本では0.6%程度と言われています。しかし、正常食道粘膜の40~50倍の癌化率と報告されています。今回、当院で逆流性食道炎の腹腔鏡的逆流防止手術(LARS)であるToupet法を施行した163例の患者さんで初めてバレット食道癌が発生しました。手術後10年を経過しているが、手術後は、1年後に1度しかカメラをしておらず、その後、9年間は通院しておりませんでした。残念です!この症例にとっては、胸やけ等の症状は手術によって完全に治りましたが、バッレト食道癌発生の抑制効果はなかったと思われます。しかし、163例中1例であり、少ないように思われますので、全体として抑制効果はあるものと思われます。

症例を提出して、文献的考察を行ない下記の如く発表しました。

        

2演題目「稀な胆道狭窄」

非常に稀な胆道狭窄を惹起する疾患である硬化性胆管炎です。全国で、年間数百人程度と稀な病気で厚労省の難病指定疾患です。胆道狭窄の97~98%は悪性腫瘍です。

今回、ⅠgG4硬化性胆管炎症例を経験しました。当初は、やはり胆管癌を強く疑いましたが、稀な疾患を常に念頭において精査を進めることが極めて大切です。私は、35年間の臨床経験で初めて遭遇?(見逃してなければ)しました。文献的考察を加えて、下記の如く発表しました。

平成30年 戌年 あいさつ

H30年 戌年

新年の挨拶もせぬまま、平成30年もはや1ヶ月が過ぎてしまいました。

当法人の本年の目標と抱負については、毎年頭に掲げているが、小生の人間力の低下?がこの遅れにつながったのが現状か!と思っています。とりあえず、3つの目標をお示してみます。

1. 障がい福祉サービス共同生活援助「うきうきハウス」の本年度中の開設 

山王台病院を中心とするメディカルケアタウン構築の一環として、ディサービスの「うきうきマイスター」の附属施設としての障がい者自立支援グループホーム「うきうきハウス」の計画です。県保健福祉部との事前協議からはや1年が過ぎ、計画等の骨子は完成しました。

○施設名称

障がい福祉サービス共同生活援助「うきうきハウス」

○設立、運営目的

当医療法人は、石岡市を中心に小美玉、行方、かすみがうら市などの周辺地域の精神・身体障がい者を対象に障害福祉サービス「障がい者・人間・生活・労働社会参加サポートセンターうきうきマイスター」を運営してきた。同うきうきマイスターには、現在22名の利用者がおり、それらの方も徐々に壮年となり、保護者の高齢化に伴い、自宅介護が困難になっている。更に、同地域には、土浦養護学校、つくば養護学校、内原養護学校、友部養護学校などより毎年100名の卒業生がおり、その内、自立生活困難なおよそ8割がその後の社会的サービスを受けることとなる。また、すでに在宅において入所支援が必要となる方々が増加しており、同ハウスの設立は急務となっている。

当法人は、「うきうきマイスター」の運営経験、その他介護老人保健施設「あいあい」、小規模多機能型介護事業所「たなごころ」、サービス付き高齢者向け住宅「カーサ・フェリーチェ」、グループである社会福祉法人地域福祉会 特別養護老人ホーム「ようよう」を運営してきた経験を活かし、障がい福祉サービス共同生活援助「うきうきハウス」を設立し運営することによって社会貢献することを目的とする。

○運営理念

  1. 精神・身体障がい者に対して愛情と経験に裏付けられた技術をもって、安全で豊かな生活を送る支援を行う。
  2. 自宅生活により近い環境整備と共に、癒しのある環境を提供する施設を備えるとともに、その維持管理に努める・
  3. デイサービスセンター、関連施設である山王台病院と協力して、利用者の精神及び身体、健康の維持管理に努める。
  4. 利用者の社会貢献、ボランティア活動を積極的に支援する。
  5. 精神・身体障がい者の疾患概念や特殊性を充分に理解し、最新の知見をもって介護及び自立支援に努める。

○建設予定地 東石岡5丁目3877-8及び3877-25一部

○立地条件  うきうきマイスターに隣接する上記予定地

○建設予定の建物概要

建築面積:631㎡(今後の設計で多少の増減はあります)

延べ面積:765㎡(今後の設計で多少の増減はあります)

階数:平屋一部2階建て(2階床面積150㎡:吹き抜け含まず)

 

2月より実施設計に入り、本年秋を開設目標にしております。

昨今の障害者福祉においては、利用者負担増、行政サービスの低下により弱者切り捨ては目をみはる悪政です。したがってハードはもとより、ソフト面でも、また運営においても勉強しなければならないことが多数あり、一つずつクリアーしていかなければなりません。この事業は小生にとって極めて重要なもので、場合によっては最後の計画になるかと思っております。是非成功しなければならず、心を引き締めて頑張ります。

 胆石症センター、外来化学療法室の竣工と3月からの治療開始 

昨年より建設中でした胆石症治療ユニット/外来化学療法・点滴治療ユニットには、胆石診断専門レントゲンテレビ、胆石破砕電気式水圧装置(EHL),乳腺特殊3D-X線装置・マンモトーム対応、高性能Ⅹ線骨密度(DEXA)、外来点滴治療室、バイオハザード対策用セーフティキャビネットを完備しました。すでに建物は竣工し、1/28に施主検査を行いました。機器の搬入や、調整、患者様に利用して頂くシュミレーションの為、もうしばらく準備を致します。目標は3月中旬です。胆石症の最新の治療や通院による抗癌剤治療をより快適な環境で、最新の薬を使用することが出来ることとなります。

乳腺特殊3D-X線システムによって、しこりの無い微小石灰化の病変を3Dマンモグラフィーガイド下で的確にマンモトーム生検・治療が出来ることとなります。このシステムは、県内では初めてです。また、デキサ骨密度測定装置は、より正確に骨塩を反映しているため、治療効果が以前より明確となります。

当院整形外科、大島医師はJAXAで骨密度の世界的研究をしており、そのアドバイスでスタッフ一同治療していきます。

③ 組織の成熟を目指して努力を 

来年度で20年を迎える新生山王台病院、そして、その他あいあい等を振り返り、今まで築いたものに加えて、20年前より多様化した医療・福祉の現場をしっかり見つめ直します。

Ⅰ、新しいマニュアルの再構築

Ⅱ、一つ一つのスキルアップと技術の成熟

Ⅲ、これから予測される問題点の発掘と早期対応

Ⅰ、Ⅱ、Ⅲを中心にスタッフ全てで、より成熟した幕内会・地域福祉会を、一日一日を大切に少しづつでも着実に作り上げて参りたいと思っております。

 

以上の①②③を1ヵ月遅れの本年の目標と抱負として邁進して参ります。

幕内会・地域福祉会  理事長 幕内幹男