第241回茨城外科学会

第241回茨城外科学会が6月25日(土)13:00〜筑波大学健康医科学イノベーション棟8階講堂にて開催されます。今年は、当院より2演題を出させて頂きました。

演題:エホバの証人に対する外科手術をどう考えるか
-胃全摘例の報告-

演者:幕内 幹男

抄録
 エホバの証人に対する手術は、かつて大きな社会問題となり現在基本的には拒否の傾向にある。しかし、最近人道的立場や外科医としての義務より妥協点を模索し、手術の内容や患者の訴容できる代替輸血の把握等により手術を容認するトライアルもみられる。また、PBM(Patient Blood Manajement)の点においては、外科医として無輸血手術を目標とする必要があり、手術手技向上にも繋がる点で意味がある。
提示症例は70歳女性、胃体上部のwide ?c+ul(+)(port+sig)を認め、開腹胆摘の既往及び完全性より開腹下に胃全摘+D2リンパ節郭清、Roux-en Y再建術を施行した。術前にエリスロポエチン製剤を投与し、貧血を改善、術中脾被膜損傷などにより出血(520ml)が著起され、患者が訴容する術中希釈式自己血返血300ml、回収式自己血輸血(セルセイバー)100ml、アルブミン製剤等を使用し手術を終了、術後も出血はなく、無事退院となった。今回、症例検討を中心に上記問題について検討して報告する。

演題:十二指腸ステントの使用経験(11例)

演者:塩澤 敏光

抄録
 今回我々は、切除不能な悪性腫瘍による幽門〜十二指腸狭窄に対してsalvage therapyとして新たに開発されたウォールフレックスmetallicステントを11例に使用した。
症例は70〜87歳、平均79.6歳、胃癌6例、膵頭部癌3例、胆嚢癌1例、横行結腸癌十二指腸浸潤1例。挿入後生存期間は3週間から4ヶ月、平均2.6ヶ月であった。挿入理由は全症例で嘔吐、食事摂取不能あり、短期間ではあったものの、挿入後、症状の改善と食事摂取が可能となり、QOLの改善が得られた。同狭窄には、従来胃、空腸吻合術が最も選択され、比較的長期予後が得られる症例もみられたが、全身状態や胃病巣の広がりによっては、同手術が困難な症例があり、その場合は成す術もなく胃管などで嘔吐を予防するのみであった。今後、ステントの挿入時期によって長期予後が期待できれば、より選択される治療になると思われたので報告する。

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