第75回 日本臨床外科学会

第75回 日本臨床外科学会が、11月21日〜23日にかけて名古屋国際会議場にて行われます。
当日は下記の日程で、私と上道医師が発表をしてまいります。

以下に抄録を掲載します。

セッション名:「私のこだわり手術手技ー食道・胃」
演題名:GERDに対する内視鏡的噴門形成術におけるhiatal meshの役割についての検討
発表日時:平成25年11月21日(木) 13:20〜14:09
演者:幕内 幹男

抄録
我々は、過去14年間で150例の胃食道逆流症に対して腹腔鏡下噴門形成術を行った。手術は、ヘルニア整復・裂孔縫縮・2/3周のfundoplicationを基本とするtoupet法を標準術式とした。その結果、8例に逆流症状の再燃を認め、PPIの一時的再投与4例、継続3例、また1例の再脱出例に対して再手術を行った。その為、ヘルニア門の大きな症例や裂孔脆弱例などに対して2011年の保険適応を機にCovidien社製hiatal hernia 専用composite meshを使用し、shoulder stitch及び裂孔背側とラップ胃の固定時に同meshを含めた縫合を5例に行った。その結果、短期follow upであるが再発を予防することができたので、手術手技を中心に報告する。
対象は、男1、女4名 65から80歳 平均73.8歳、巨大ヘルニアup side down胃2例、裂孔脆弱3例、逆流症状を評価する術前の問診スケールスコアは18から24平均21.4であった。術後成績は、開腹移行、術後合併症はなく、最長2年1ヶ月であるが食道胃造影及び内視鏡所見にて再発なし。術後問診スコアは0から3平均1.0と改善が得られ、2年経過症例もスコアの再上昇は診られなかった。
巨大食道裂孔ヘルニアを含めた広義の胃食道逆流症に対して、toupet法は本邦においては既に標準術式となっている。しかし、高齢化に伴い裂孔、特に右脚の極めて脆弱な症例やup side down胃などの再発high risk症例が増加する傾向にあり、適切な組織補強材の被覆は再発の防止に繋がると考えられた。

セッション名:「私のこだわりの手術手技ー肛門疾患」
演題名:肛門疾患に対するPPHの有用性とその工夫についてー593例の検討ー
発表日時:平成25年11月22日(金)  9:12〜 9:47
演者:上道 治

抄録
我々は平成11年よりPPH法を導入し、下記に示す手術手技464例に施行した(PPH群)。
PPH群は、PPH単独211、PPH+LE246、PPH+Thiersch7例であり、またLE単独、ALTAその他の非PPH群は129件で各々、比較検討した。
 PPH法はrunning sutureの高さが一定化しないと多種の肛門疾患に充分な対応ができず、術後合併症を発症することがある。しかし、手技の工夫及び熟達によって、内痔核及び直腸脱に対して、他法よりよい適応症例があると考えられた。
(1)透明フードを確実に肛門管に挿入し、Longo原法より低位の高さとなる脱出先進部付近に全周性に一定のrunning sutureとなるようにマーキングすること。―平成24年よりstaple lineが歯状線に掛からない範囲でマーキングを更に約1cm肛門側に低位にした―
(2)anvilを確実に挿入し、均一に粘膜を環状に切除することを目的にrunning sutureに3針支持糸をかけて牽引すること。
(3)内痔核還納不充分な症例の場合、最小限にLEを追加すること。
(4)直腸脱の著明な症例や括約筋が緩い場合はThiersch法を追加すること。
など行っている。
合併症は、PPH群で再発3、術後出血5の計8例(1.7%)、非PPH群は再発3、出血1、直腸周囲膿瘍1、肛門狭窄1の計6例(4.6%)であった。
入院期間は、H20年以降ではPPH群2.2日、非PPH群2.1日と差はなく、PPHにLE追加率は52%で平成24年以降は48%と低下傾向であった。当院でのPPHの手術手技はほぼ確立されたと思われる。

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