第233回茨城外科学会

来る平成25年10月27日8時30分から、茨城県医師会会議室で第233回茨城外科学会が開催されます。

当日は、私と上道医師がそれぞれ下記の演題で発表を行います。
以下に抄録を掲載します。

「急性虫垂炎で発症し、術中診断で回盲部切除を施行した虫垂癌の一例」
  演者  幕内 幹男

 
症例は78歳女性、H25年8/7より右下腹部痛出現し他院より紹介となる。腹部画像診断の結果、右下腹部に糞石を有する浮腫状の虫垂を認め、腹部所見を含め急性虫垂炎と診断し緊急手術を施行した。虫垂は中間部で壊死・穿孔しており、また根部に硬結を認め、虫垂癌の存在も念頭に回盲部切除術を施行した。
切除病理にて、虫垂根部に癌腫が存在し先端まで浸潤していたが、穿孔部は癌腫はなく壊疽性虫垂炎であり、腫瘍が虫垂根部を塞いでいた為、虫垂炎を併発したものと考えた。
原発性虫垂癌は比較的稀な疾患であり、その発生頻度は全大腸癌切除症例のうち0.22〜1.4%と言われている。また、切除虫垂に対する比率は本邦で0.03〜0.19%とされている。術前診断は困難で急性虫垂炎として手術時発見されることがほとんどであり、虫垂の組織学的特徴より進行が早く予後不良である。したがって、本症例のように術中に虫垂癌を疑った場合は、癌に準じた術式が望ましいと思われたので文献的考察を含めて報告する。

「胆石イレウスの一例」
  演者  上道 治

症例は80歳男性、H24年9月に急性胆嚢炎にて治療を受ける。H25年7/3より嘔吐が出現し腸閉塞の診断にて他院に入院、7/4当院に紹介となる。CTにて胆嚢内に気腫が診られ、小腸内にφ35mmの層構造を有する石灰化とニボーを認め、胆嚢、消化管廔より排石した胆石イレウスと診断した。イレウス管挿入時に十二指腸・胆嚢の廔孔を造影にて確認することができ、減圧後、保存的に結石の通過を期待したが、イレウス管造影にて結石は空腸回腸移行部付近に陥頓し移動する傾向がなかった。その為、7/10鏡視下補助下に小腸を切開し結石を摘出した。
胆石イレウスは、全イレウスの0.15〜1.0%、全胆石症の0.15〜1.5%と極めて稀と報告されているが、時として遭遇する疾患である。診断は比較的容易であるが、摘出法がいくつか考えられ、最近ではダブルバルーン小腸ファイバーによる砕石の報告も診られる。しかし、施設によっては確実な摘出方法が望ましいと考えられ、今回我々は鏡視下補助下にて摘出し得た症例を経験したので、文献的考察を含めて報告する。

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