第230回茨城外科学会

10/21(日)に開催予定の第230回茨城外科学会へ当院より2演題応募させて頂きました。

その抄録になります。

演題 二つの潰瘍病変を呈した胃小細胞癌の一例
演者 志村 浩

 症例は、71歳男性。胃部不快感を主訴に他院受診し、内視鏡検査にて胃癌が疑われ紹介受診となった。当院での上部内視鏡検査にて、幽門前庭部の前壁から小弯を通り後壁にかけて一部周堤の崩れた潰瘍面を認め、生検にて低分化型腺癌が検出、H23年12/7、幽門側胃切除術を施行した。病理学検査では、4.5×3.5cmと8.5×7.5cmの二つの組織型の異なる潰瘍性病変が存在し、前者はtub1、後者はsmall cell ca.であった。術後TS-1、CDDP療法を行っていたが、狭心症を発症。PCIを施行後、抗凝固剤が開始となり、その後急速に貧血が進み、内視鏡検査にて、残胃の後壁に出血を伴う隆起性病変を認めた。
 胃小細胞癌は比較的まれな疾患で、胃癌全体の、0.2〜0.6%とされている。粘膜下優位に急速に発育し早期より脈管浸潤を来たし、予後不良で、1年生存率は約50%と報告されている。今回我々は、狭心症などの合併症もあり術後約9ヶ月で死亡に至った胃小細胞癌の一例を経験したので、今後の治療の参考にすべく文献的考察を加えて報告する。

演題 POCS・EUSが診断に有用であった胆管癌の一手術例
演者 上道 治

 症例は62歳男性。H24年6月上旬より黄疸が出現、6/9当院に閉塞性黄疸にて精査入院となる。術前MRCPにて、下部胆管に高度な狭窄と中部に凹凸不整な隆起性病変の多発を認め、同日ENBD tubeによる減黄を開始した。CTscan等にて他臓器浸潤、遠隔転移は認められず手術適応と判断した。しかし、胆管病変は、境界不明瞭であり伸展型IPN-B様の所見を呈していた為、質的診断及び切除位置の決定の為にPOCS・EUSを行った。その結果、POCSでは下部及び中部胆管の三管合流部近くまで乳頭状隆起の散在と下部胆管に乳頭状隆起を伴った比較的軟らかい高度な狭窄を、EUSでは下部胆管壁内に比較的限局する腫瘍像を認め胆管原発の胆管内乳頭状腺癌の像を呈し、更に、POCS下生検下部胆管よりadenocarcinomaが検出された。
 乳頭型胆管癌は、膵のIPMN類似の胆管内乳頭腫瘍とする概念があり、予後は比較的良好とされているが、胆管上皮内伸展を呈しやすく、その境界の判断が困難である。今回、術前診断が有用であった胆管癌の一切除例を経験したので文献的考察を加え発表する。

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