日本臨床外科学会

本年度の日本臨床外科学会へ演題を応募致しました。

その抄録になります。

演題 下大静脈・腎合併切除によって切除し得た右副腎隣接巨大paraganglioma の1例 
演者 上道 治

症例は48歳男性、主訴は右上腹部痛。CT、MRIで右副腎に隣接したφ10cmの巨大腫瘍を認めた。CT angio で腫瘍は下大静脈を後腹膜より著明に圧排、浸潤を強く疑わせ、下副腎動脈及び腎動脈背側枝をfeederとするものであった。尿中VMA(+)にてfunctional tumorは否定を疑わせたが、高血圧は認めず質的診断には至らなかった。画像にmalignancyを強く疑い右副腎に加え右腎及び下大静脈を合併切除し、肉眼的に完全切除し得た。下大静脈浸潤部が腎静脈頭側にあったが、clamp後左腎静脈圧の上昇はなく、V-V shuntを行わずに合併切除、形成縫合した。病理所見はmalignant paraganglioma、下大静脈浸潤(+)であった。paragangliomaは、稀な傍神経節由来の腫瘍であり、後腹膜腫瘍中2%程度と報告されている。同腫瘍の良性悪性の病理所見による明確なcriteriaは確立しておらず、他臓器浸潤のある例は臨床的悪性度が高いとされ、また、非根治的切除例の5年生存率は19%と極めて不良と報告されている。今回我々は、これらを踏まえ上記の如く下大静脈を含めen bloc切除をすることができたparagangliomaを経験した。下大静脈合併切除に対しては、腎静脈上での血行遮断にはBioPump等によるV-V shuntが推奨されているが、我々は、腎静脈圧が40mmHg以下の場合は、精巣静脈等の側腹血行によって40分程度であれば障害がないことを提唱しており、今回、腫瘍の性質及び切除方法等について文献的考察を含め報告する。

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