第69回日本臨床外科学会

 今回、私を始め山王台病院は第69回日本臨床外科学会(11月29日〜12月1日開催)にて4演題の学会発表をします。[:!:]
 演題・抄録は以下の内容になります。


演題

  食道胃逆流症に対する鏡視下噴門形成術101例の経験―問題点と今後の対策―

抄録
 
 我々は胃食道逆流症に対して噴門形成術を施行し、最近8年間で101例に達した。対象は男性50、女性51例、22〜82歳、平均51.7歳で、標準術式は2/3周のfundoplicationを行なうToupet法を採用している。
本術式のポイントは窮隆部の食道へ巻きつけ(wrapping)及び食道裂孔の適度な縫縮と、更にgastropexyによる滑脱の防止にあるが、術後早期のつかえ感と長期的に診たwrappingの緩み及び短食道例の胸腔内へのwrappの引き込みである。
我々の本術式の操作はほぼ確立されており、現在まで術中開腹移行、また術後再開腹は1例もなく、皮下気腫、気胸4、脾被膜出血2、胃チューブの縫着1例であり、重篤な合併症はなかった。症状の改善は術前後のアンケート調査票(Fスケールmodified)によって評価したが、術前スコア平均22.4、術後3.8と極めて改善が得られた。
しかし、術後初期のつかえ感5例に対して1〜2回の内視鏡的バルーン拡張術を、術後数ヶ月を経過した後に5例にPPIを一時的に再開、1例に継続投与を行なっている。
つかえ感などの狭窄症状は全例経過とともに症状は消失したが、鏡視下手術が故の術後成績については、更に検討する必要があると思われ、今回これらの問題点を検討し、手術の工夫を中心にビデオにて供覧する。

演題

 食道アカラシアに対する鏡視下手術の検討―手術手技の確立を目指してー

抄録

 食道アカラシアは稀な疾患であり、その病態及び疾患に対する認識度は低く診断が遅れ治療には難渋する。
 薬剤治療はほぼ無効であり、バルーン拡張がほぼfirst choiceとして行われていたが、再発も多く必ずしも有効とは言い難く、また、出産年齢の女性に多い為、被爆の点でも問題となる。更に、再三の拡張に伴って食道筋層の炎症性癒着や瘢痕が惹起され、手術に至った場合は難易度を上げる。
 近年、鏡視下手術の進歩に伴い、これら噴門機能障害に対する外科的治療は見直され、その適応は拡大されつつあり、上記の問題よりむしろfirst choiceといっても過言ではない。
 今回我々は、7例の食道アカラシアに対してHeller‐Dor手術を施行した。男性2、女性5例、16〜56歳、平均36.8歳、X線分類にて全例グレード?以上で、バルーン拡張歴を有するものは3例であった。手術は食道側7cm胃側2cmのmyotomyにDor‐wappingを施行した。術後合併症は全例に認められず、平均在院日数は6.7日であった。
また、全例に著明な症状の改善が得られ、客観的評価として手術前後のアンケート問診票をスコア化したが、術前46.8に対して術後2.8と低下し、満足する成績が得られた。本術式はfirst choiceとなりえる可能性があるが、良性疾患がゆえ安全性が要求される。これらの点をふまえ手術手技を中心にてビデオにて供覧する。

演題

 内痔核・直腸脱に対するPPH(Longo)法の将来展望―309例―検討
抄録

 最近8年間に309例の直腸脱・内痔核に対して根治術を行った。その内circular staplerを用いた直腸粘膜環状縫縮切除であるPPH法を255例に施行し、特に直腸脱及び脱出内痔核に対しては第一選択とした。一方、症例によってはMiligan‐Morgan(M.M)法を125例、またジオン注を6例行った。PPH法は、39.5%にM.Mを併用、また完全直腸脱3例にThiersch法を追加した。PPH法は術後疼痛、入院期間、合併症、術後アンケートによる満足度調査などの術後成績について比較したところ、他法より良好な成績が得られた。
同法は、98年Longoにて報告され、99年より当院に導入したが、大きな合併症及び肛門狭窄はなく、術後出血1、再脱出は3例に診られ、それぞれPPH法を1例、M.M法を1例、Thiersch法1例に追加した。
同法は、弛緩した肛門管直上の直腸粘膜を縫縮することによって下垂したanal cushionsを解剖学的位置に戻すという意味で内痔・直腸脱に対して極めて理論的な術式である。しかし、一部不慣れな術者によって合併症をきたし、野蛮な手術と報告されたこともあるが、術式の確立とmodifiedにより他種にわたる痔・直腸脱に対応できる安定した術式と考えられる。また、日本での同術式も8年を経過しており、中、長期的再発はなく、それらを含め、手術手技を中心にビデオにて供覧したい。

演題

 薄筋筋皮弁を用いて切除しえた肛門・直腸腫瘍二例
抄録

 直腸肛門部病変の切除に伴う会陰創及び小骨盤の欠損は、通常一時的閉鎖が可能である。しかし、広範囲な会陰部の合併切除を必要とする巨大肛門腫瘍などは欠損部の一時的縫合閉鎖が困難な場合がある。また女性の場合には、腟欠損によるQOLの低下も伴うこともある。
今回我々は、会陰部の広範囲切除によって充分な腫瘍切除が可能となり、それに伴う大きな欠損部を薄筋筋皮弁を用いて充填、被覆することによって、感染予防や術後のQOLの向上が得られた2例を経験したので報告する。
症例1 65歳女性。痔核にて他院で治療を受けていたが、症状の増悪と腟内に腫瘤を触知するようになり当院受診。腫瘤は直腸・肛門管の前壁を中心に2/3周を占めるやや黒色の隆起性病変で、腟後壁に高度に浸潤し粘膜に突出していた。生検病理でMalignant melanomaであり、画像上遠隔転移はなかった。手術は2/3周の腟後壁と腟口下2/3及び会陰部を含めた腹会陰式直腸切断術を施行し、欠損した会陰と腟を薄筋筋皮弁にて形成した。
症例2 43歳男性。C型肝炎、重症糖尿病の治療を受けていたがコントロール不良であった。数十年前より肛門周囲膿瘍を繰り返していたが、徐々に肛門周囲に皮膚潰瘍を形成し、来院時、肛門縁から最長8?の皮膚浸潤を認める直腸肛門部腫瘍を認め、生検病理で扁平上皮癌であった。手術は腹会陰式直腸切断術を施行し、欠損した会陰を薄筋筋皮弁に充填、被覆した。

2 Replies to “第69回日本臨床外科学会”

  1. 『手術は2/3周の腟後壁と腟口下2/3及び会陰部を含めた腹会陰式直腸切断術を施行し、欠損した会陰と腟を薄筋筋皮弁にて形成した。』と記載されていますが、この様な場合、「後方骨盤内臓全摘術」の適応になるのではないでしょうか?

  2. Since this neoplasma is a malignant melanoma, our purpose of dissecting it is to make it surgical free.

    However, we believe that systematically dissecting a
    lymphadenectomy or any other organs for a morbid dissection is unnecessary.

    Making enough surgical margine may result in a great deal of damages, but filling in the use of a skin and muscle cutaneous flap will be able to perform the dissected surgery of a large part.

    At present, the patient hasn’t had any relapses yet and is visiting our hospital regularly for the routine after-surgery check-ups. Furthermore, she appreciates our service very much for she hasn’t neither felt any stiffness nor psychologically suffered from a cosmetic point of view on the place where she had been operated.

    M.MAKUUCHI

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