第71回日本臨床外科学会

 11/19(木)〜11/21(土)国立京都国際会館で開催される

 日本臨床外科学会の抄録を応募致しました[:ひらめき:]

 演題名
 「当院における総胆管結石症の治療方針  ―EST・ERBD先行の有用性―」
 演者
 幕内 幹男
 共同演者

 山王台病院
  笹屋 昌示、上道 治、佐々木 健、室伏 雅之、
  藤原 康郎、高橋 愛樹
 昭和大学藤が丘病院外科
  北村 陽平、白畑 敦、梅本 岳宏、日比 健志

 抄録
 
総胆管結石症は嵌頓に伴って、急性化膿性胆管炎を併発しDICに移行し易い。EST及びERBDは、ほぼ確立された手技であり括約筋損傷についても長期的問題点の報告も少ない。一方、PTCDやT-tubeは不意な抜去に伴う大きな合併症が惹起される。
 我々は過去10年間で、総胆管結石179例に対してEST(E群)を施行、胆管炎合併64例にはERBDを先行し、巨大結石3例はESWLを併用した。また、開腹総胆管切開・T-tube挿入(T群)は29例に施行した。
 今回、両群の手術成績・合併症・入院期間等について比較し、EST・載石後のLap-Cでの完遂率等ついても検討した。腹腔鏡下総胆管切開は1例のみに施行したがその可能性については文献的に考察した。
 成績は、E群では177例に載石し得たが、バスケットカテ嵌頓1例、カニュレーション不成功を1例に認め、開腹下切開に移行した。また、重症膵炎1例、切開部の出血1例、平均入院期間は平均18.8±10.9日。一方、T群はtubeの自己抜去による腹膜炎2例に再開腹を施行した。入院期間は平均57.8±15.7日であり、T群より有意に長かった。
 また、E群のLap-C完遂率は98.1%であり、重症胆嚢炎ではERBDの留置にて安全にLap-Cを施行できた。総胆管への腹腔鏡下アプローチは、施設によってばらつきがあったが、症例によって選択すべき術式と思われた。
 以上より施設間による治療法選択の特異性があるもののESTをfirst choiceとすることは妥当と思われた。

 演題名
「GERDに対する鏡視下噴門形成術の有用性 ―121例の検討―」

 演者
 笹屋 昌示

 共同研究者

 山王台病院
  幕内 幹男、上道 治、佐々木 健、室伏 雅之、
  藤原 康郎、高橋 愛樹

 昭和大学藤が丘病院外科
  北村 陽平、白畑 敦、梅本 岳宏、日比 健志
 東京慈恵会医科大学附属病院消化管外科
  柏木 秀幸

抄録
 GERDに対する治療法はPPIの出現により、非常に容易になった。しかし、近年の生活習慣や体型の変化により難治性症例が増加しつつあり、1.PPI抵抗性2.食物・胃液等の逆流が改善されないもの3.薬剤継続不良等がPPI治療の次の手段の対策となる。
今回我々は、過去10年間で121例のGERDに対して鏡視下噴門形成術を施行した。対象は、男59女62例、22〜83歳平均51.7歳で、アンケート問診票(Fスケール変法)の高スコア、PPI抵抗例等を適応とした。
術式は、Toupet法120例、Nissen法1例、手技のポイントはwrappの長さやつつみ込みの程度及び裂孔の適度な縫縮と、gastopexyによる滑脱の防止等にあり、それに伴う術後早期のつかえ感と長期的に診たwrappの緩み及び短食道例の胸腔内への引き込みが問題点となる。
術後合併症は、皮下気腫4、気胸4、脾被膜出血2、胃チューブの縫着1例で開腹移行はなかった。手術時間は107〜358分平均192分、術後入院期間は3〜17日平均8.6日であった。症状の改善はスケール・スコアでは、術前平均21.5に対して術後3.5と極めて改善が得られた。術後初期のつかえ感7例にバルーン拡張術を、晩期の6例にPPIを一時的に、1例に継続投与を行っている。また短食道例にヘルニアの再燃を認め再手術で治癒した。
本術式が薬物療法の次の手となる条件は、術式の安定性・再発率低下と高満足度と考えられるが、その為の術式のmodefied等について検討して報告する。  

 演題名
内痔核・直腸脱に対するPPHによるstrategy  ―414例の検討―

 演者
  上道 治 
 共同演者
  山王台病院
   幕内 幹男、笹屋 昌示、佐々木 健、室伏 雅之、
   藤原 康郎、高橋 愛樹
 昭和大学藤が丘外科病院外科
  北村 陽平、白畑 敦、梅本 岳宏、日比 健志

 抄録
 我々は、過去10年間に414例の直腸脱、内痔核に対しての根治術を施行したが、PPH法(PPH群)導入後は基本的に同法をfirst choiceとして現在まで338例に達した。
 一方、症例によってMiligan-Morgan法(MM単独群)159例、ALTA12例に、その他直腸脱に対して三輪Ganz3例、Dehn-Drlorme2例に行った。
 PPH法は、PPH単独は174例、MMを159例47%に併用した。また、完全直腸脱8例にThiersch法を追加した。
 対象は、PPH群でMM単独群に比べてGoligher 4の重症例と直腸脱が多かったが、年齢及び性差はなかった。
 術後成績は、PPH群で術後出血3例、再脱出3例で、再脱出例にはPPH、MM、Thierschをそれぞれに追加した。また、肛門狭窄・その他大きな合併症もなかった。
 一方MM群は、出血、再脱出とも1例。術後疼痛は特にPPH単独群で軽く、MM追加群はMM単独群に近い傾向にあったが、これはMM単独群の対象がPPH群に比して軽症であることが関与していると思われた。
 術後入院期間は、H17年以降ではPPH群2.6日、MM群2.3日と差はなったが、年々短縮する傾向にあった。
 PPH群の術前後のアンケートスコアは、著明に低下し全例にほぼ満足が得られた。
 PPH法は、anal cushionaを解剖学的位置に戻すという点で、極めて理論的な術式であるが、更に経験を積むことと術式modifiedによってより多種多様な痔核・直腸脱に対応でき、適応の拡大につながると思われた。

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