第225回茨城外科学会 演題応募

10/31(日)9:00〜茨城県医師会にて
第225回茨城外科学会が開催されます[:星:]

当院より2演題応募させて頂きました。その抄録になります。

演題
『診断及び治療に難渋した肝門部胆管小細胞癌の1例』

演者 藤原康朗

症例は、58歳男性。平成21年10/15腹痛・黄疸が出現し当院受診。急性胆嚢・胆管炎、胆管狭窄による閉塞性黄疸の診断にて入院となる。MRIにて胆嚢は著明に腫大し、同頸部に接した総肝管に比較的境界明瞭で平滑な壁外性圧迫様の高度な狭窄を認めた。同部の胆嚢結石は、明確ではなかったが画像上Mirizzi症候群を強く疑った。この時点での胆嚢摘出は、胆管合併切除となる可能性が高いと判断し、ERBD tubeを挿入し、炎症消失に伴う胆管拡張をきたしPTGBD及び保存的治療にて経過観察とした。
 外来経過観察を行っていたが、平成22年3月になり胆道狭窄は肝門部に進展し左肝管はB2B3・B4の分岐部直前にまで至った。又CTscan上腫瘍像を呈するようになった。この為、悪性を強く疑い切除を検討し、PTPE後5/14肝右葉・尾状葉切除 肝外胆管切除・リンパ節郭清術を施行した。切除病理結果は、Bile duct small cell ca. Hinf2 ,pT4, em0 ,INFα,med ,ly0 ,v0 ,pn0 ,pA0, pV0 stage?aで胆管原発の小細胞癌と診断された。
 胆管原発の小細胞癌の報告は、極めて稀であり、今回、急性胆嚢炎の発症にて発見され、診断及び治療に難渋した症例を経験したので報告する。

演題
『neo adjuvant chemotherapy後食道・胃同時進行癌に対する一切除例』

演者 上道治

症例は66歳男性。食物つかえ感、体重減少にて平成22年5/12当院受診。上部内視鏡にて下部食道に?型の進行食道癌と胃体上中部に?型の進行胃癌を認め、それぞれsccとadeno caが検出された。腹部CTscanにて腹腔動脈周囲に腫大したリンパ節と膵体尾部への直接浸潤を認め、手術を考慮しつつ化学療法を開始した。CDDP100?、5-FU2500?/body×3クール施行後、癌腫及びリンパ節の著名な縮小を認めた為、根治性が得られると判断し、右開胸・開腹・頚部切開による胸部食道全摘・胃全摘・膵体部尾部脾合併切除、3領域胃癌に対するD3リンパ節郭清術、後縦隔経路右結腸有茎再建術を施行した。切除病理はそれぞれscc 中分化型mp pm(-) n(+)110,1 t2n2 stage?、tub1 si(panc) dm(-) n(+) 1,4sa,4sb,7,11d t4n2 stage?であった。食道・胃重複癌は、決して稀ではないが、どちらかが早期癌である例が多く同時重複進行癌に対する切除例は、文献的検索においても比較的稀であった。その原因として、手術浸襲の過大があげられるが、本症例のようなneo adjuvant chemotherapy著効例に対しては、選択すべき術式と考えられた為、文献的考察を含めその適応等について検討して報告する。